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2002年03月09日
第073回 「ひばり捕物帖 かんざし小判」
監督:沢島忠さん、インタビュアー:渡部純雄さん
 春本番とでも言いたい麗らかな陽気です。「ひばり捕物帳かんざし小判」は、美空ひばり・東千代之介共演で堺俊二、薄田研二ら芸達者がわきを固めて居ります。沢島忠監督は、ひばりさんや錦之助さん主演作のメガホンを多数取ってこられました。満席の場内には、此の作品にも出演している松風利栄子さんや、沢島監督作品の映画音楽に深く関わって来られた佐藤勝さんの未亡人のお姿もお見受けします。監督は入場すると壇上には上がらず、先ず自分が監名会に招ばれたのは13年振りとの感慨を述べ、そして本日の作品のキャストでは、里見浩太郎と来席の松風さんを除いては殆どの人が鬼籍に入った事が感無量であると、心もち目を潤ませます。気配りの深さと温かいお人柄が心に残りました。
 沢島監督は演壇の席に着いてもいささかの飾り気も無く、本日のインタビュアー渡部純雄さんの問いに淡々と語られます。先ず美空ひばりについて。彼女とは13本撮ったが本日の作品が初めての作品である(ちなみに第25回の折は、最後の作品「女の花道」でした)。名子役から娘役に脱皮していく難しい年令期であったが実に可愛い子だった。感性の鋭さ、シナリオの読破力、運動神経、どこを取り上げても抜群の素質であった。又此の作品にも登場する歌舞伎の啖呵なども一夜でマスターしてしまう、まさに天才であった。当初この企画については、ひばりの転換期の活かし方、そしてそれまでは貴公子然とした役柄の多かった千代之介の新しい面を生み出す試みの青春時代劇をとの指示であった。良いわき役を配され、映画が三度の飯より好きな人達の情熱の成果は大ヒットとなり、「駆逐艦で戦艦(大映の忠臣蔵と競映)を破った」と当時の大川社長よりお誉めの言葉を頂いた。
京都市民映画祭では新人監督賞を獲得。評論家の佐藤忠男氏からは「チャンバラをハリウッドミュージカル化した成功作」と激賞された。沢島監督の作風はリズム感とスピード感に定評のある所だが正しくこの作品が時代劇に新風を吹きこんだ。スタジオ内では椅子に腰を下ろしている暇も無く監督も俳優と一緒に駆け回っていた。カメラの移動も横より縦のラインを駆使して、モブシーンや移動シーンにもエネルギッシュな画像を強調出来た。学生時代から野淵昶氏の主催する演劇活動に打ち込んでいたのが劇団解散の為映画界入りした経緯があり、助監督時代幾人かの大監督に八年(約80本)程ついたが得る所は誠に大きかったという。

 沢島監督は現在、舞台の演出、脚本創りで活躍しておられます。その数100本以上。舞台を銀幕に見立てての活動です。「今後共一生懸命やるのみです」、抱負を語る表情も実に若々しい。渡部インタビュアーが対談の途中から「人生劇場」の話題に転じた処、「其の話は人生劇場を監名会で何れ取り上げられる機会に譲りましょう」とユーモアたっぷりのお答えでした。そうです、その機会を楽しみにしております。監督、何時までも変わらずにお元気でご活躍下さい。
(坂田 純治)





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