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2006年05月17日
第089回 「喜劇 急行列車」
女優:佐久間良子さん、監督:瀬川昌治さん、映画評論家:寺脇研さん
 喜劇とは、人気喜劇役者が一人でガンバっても決して笑いは誘えない。言うまでもなく、演出の技が必要だ。すべての映画作品同様に。5月17日、京橋のフィルムセンターで開催された第89回「監名会」(NPO法人映文振センター主催)の上映作品は、故・渥美清さん主演、瀬川昌治監督の「喜劇 急行列車」。1967年、製作・配給は東映。上映後、ゲストに招かれた、渥美さんが恋焦がれるマドンナ役を演じた女優の佐久間良子さんと瀬川昌治監督に、映文振センター副理事長で映画評論家でもある寺脇研さんがお話を聞いた。司会進行は俳優の高木靖浩さん。
 特急列車の専務車掌青木吾一は、17歳から鉄道一筋に生きてきたベテランで4人の子供に、特急・さくら・つばめ・ふじと汽車の名前をつけるほどの鉄道マニアだ。東京発、長崎行「さくら号」に乗組んだ吾一は、乗客のなかにかつての知合いで初恋の人、塚田毬子を発見した・・・。
 一カ月の撮影期間中、東京長崎間の寝台列車を特別に用意し、半分以上がセット、電源車を連結して撮ったという。鉄道の歴史を辿るという点でも意義深い作品だ。本作の大ヒットにより瀬川監督は松竹へ移った後、<列車>シリーズの延長としてフランキー堺主演の<旅行>シリーズを撮ることになる。列車をモチーフにした市井の人々の人間ドラマをユーモラスに活写した作品を観ていると、まさに“人生は旅”という言葉がしっくりあてはまる。
「90分に盛り沢山の話がつめこまれ、3組のカップルの人生を凝縮させたドラマ」とインタビュアーの寺脇さんは評する。 「当時すでに東映の大スターだった佐久間さんに実に色々なことをやってもらった。デビュー作『ぽんこつ』にも出演してもらったが、私の映画には必要不可欠の人だった。シネスコサイズの画面の両端まで女優・佐久間良子の魅力が溢れる映画となったと思う。渥美さんは、色々アイディアをだしてくれ、随所にイメージを膨らませてくれた」と瀬川監督は語られた。
 佐久間さんは、静かな存在感を漂わせ、本作を久しぶりに見て、「改めてみると、左卜全さんをはじめ名脇役が作品に深みをもたらしています。現場は楽しく、一流のスタッフばかりで、みな一生懸命に映画作りをやっていました」と凛とした口調で語られた。
 上映中、満員の会場は絶え間なく哄笑がおこっていた。心から笑えるほのぼのとした楽しい作品だ。時代は流れ、寝台列車「さくら」は消えたが、映画はしっかり残り昔と変わらず人々を楽しませてくれる。人々が本質的に求めるものは変わらないということだろう。
(桑島 まさき)





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