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2009年09月05日
第102回 「たそがれ清兵衛」
映画監督:山田洋次 さん
 102回目となる「監名会」(映文振センター主催)が9月5日、京橋のフィルムセンターで開催された。上映作品は没後も読まれ続け絶大な人気を誇る故・藤沢周平の短編小説を映画化し大ヒットとなった「たそがれ清兵衛」。当日は多くの会員が集まった。2002年度作品、製作は松竹、日本テレビ、住友商事、博報堂、日販、衛星劇場。配給は松竹。
 言うまでもなく山田洋次監督作品だ。山田監督といえば27年間続いた国民的映画「男はつらいよ」シリーズの監督で、あまりにも多くの代表作をもつが、意外にも時代劇は本作が初めてだ。上映会の後、山田洋次監督が撮影秘話などを話された。監名会には25年前(第6回)においでいただいている。司会進行は俳優の苫野美生さん。
 藤沢周平の小説が好きでいつかは撮りたいと思われていたそうだ。「短編や中編が多い藤沢作品は“枕元の小説”と呼ばれるように大変読みやすく心に染みる作品ばかりだ。その魅力は、他の時代劇とは違い英雄が出てこず、つましく懸命にいきる下級武士ばかり。又、女性が大変色気がある。そしてクライマックスに必ず果たし合いがある。こんな緊迫した状態を描いた作品を撮ったことはなく、平和な時世に生死をかけた果たし合いをしなければならない下級武士たちの思いはどんなだっただろうかと色々考え、リサーチして原作を脚色・映画化した」と山田監督は語る。
 初めての時代劇は日本アカデミー賞であまたの賞を授賞しただけでなく、その他多くの名誉ある賞に輝き、時代劇三部作「隠し剣 鬼の爪」「武士の一分」と続いた。
主演の真田広之については、早くから主演に決めていて、「時代劇ができる最後の役者」と絶賛する。
 時代は幕末。安定した平和の世ではあるが、倒幕の動きが目立ち始めていた徳川治世のたそがれ時。家族の生活のため黙々と働き続け、夕方になると仲間の誘いも断って帰宅する下級武士・清兵衛は周囲から“たそがれ清兵衛”と陰口される。一日中働き続けても変わらぬ苦しい生活。現在と同じく格差社会の現実に胸がいたむ。しかし、苦しい生活の中でも毅然とした清らかな生き方や信条、武士の誇りは忘れない。それだけに一際輝きを放つ。こんな風に生きたいと思わせてくれる。名作映画だ。
(文:桑島まさき/写真:松下真代)





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