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2010年09月11日
第105回 「潮 騒」
俳優:久保 明さん
 記録的な猛暑が続いた今夏、9月に入っても秋の気配が感じられない中、第105回「監名会」(映文振センター主催)が9月11日、京橋のフィルムセンターで開催された。
 上映作品は、先回の文芸作品「伊豆の踊子」に続き、三島由紀夫の原作小説の映画化「潮騒」。幾度も映画化され、時代を代表する人気役者が主役を演じ、初江を演じた女優たちは有名な「その炎を飛び越えてこい」という台詞を発してきた。今回上映されたのは、1954年版。監督は、谷口千吉、製作は東宝。主役の若い恋人たちは、久保明と青山京子。上映会の後、主役を演じた久保明さんのトークショーがあった。司会進行を努めた俳優の苫野美生さんがお話を聞いた。

 現在から50年前の作品だ。新治役の久保さんは当時まだ高校3年生、共演の青山さんも同世代。限りなく原作のイメージに近い2人が自然体で演じ大ヒットした。
「役作り云々なんて余裕はなく、ただ若さだけで演じました。ずっと水泳をやっていた事が役に立ったと思います。谷口監督は口は悪い方でしたがさばさばした方で、映画の中ではナレーターをやったり、ヒッチコックのようにチョイ役で出演したりする面白い方でした」と久保さん。

 当時の平均撮影期間は25日〜30日。年間、多くの映画が撮られ、久保さんも年間12本映画に出演した事もある。学業と俳優業との両立は難しく、学校を休みがちにならざるを得なかった。苦労をしながら映画に出続け、名作の主役を射止めた。しかし、当時、ビキニで米国が水爆実験を強行、第五福竜丸が被爆するという事件がおき、放射能の影響が心配され撮影が危ぶまれたそうだ。1954年は終戦からまだ9年なのに、だ。

 なんとか撮り終える事ができ公開し大ヒット。試写には、現天皇が足を運ばれた。又、映画化権は故木下恵介監督が獲得されたが、谷口監督に譲られたそう。新治同様、諸々の変化に遭遇しつつ、久保・青山版「潮騒」は名作として残った。故三船敏郎の船長役が最高にカッコいい!達者な役者達が主役の2人を後押ししたすばらしい作品だ。
(文:桑島まさき/写真:島崎博)





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