インターネット エクスプローラーダウンロード
推奨環境:IE5.5以上



 HOME > 監名会 > 監名会リポート


2011年7月18日
第107回 「巴里の屋根の下」
対談:弁護士 相澤 英之 さん × 三浦 朱門 さん(当法人相談役)
進行:小池晴二(映文振センター前副理事長)

 日本映画の旧い名作を各々の映画に関わった映画人を招き検証・継承していく活動を続けている映文振センターの事業の一つ「監名会」。第107回監名会は「3・11」の東日本大震災の影響で3月31日開催を延期、7月18日に東日本大震災チャリティーイベント 対談「わが青春時代」として學士會館で行われた。
ゲストは弁護士の相澤英之氏と当会相談役で作家の三浦朱門氏。上映作品は、お二人の青春時代の思い出の作品で、この度は特別にフランス映画/1930年作品「巴里の屋根の下」(ルネ・クレール監督)となった。
司会進行は当会の元副理事長・小池晴二氏。猛暑にもかかわらず多くの会員が集まった。
今回の「監名会」では、IMAGICA TV様 / 紀伊國屋書店様のご厚意により、現時点で最良の原版を使用したデジタル・リマスターDVDを使用しての上映。80年前の制作とは信じられないほどの画面の美しさ、クリアな音楽・音響だった。
上映作品はトーキーが登場したばかりの頃、ルネ・クレール監督にとっても初のトーキー作品となるもので、自ら原作脚色台詞を執筆した。おなじみのメロディーを背景に巴里裏町の素朴な美しさを映し出した音と映像のラブロマンスだ。映画が公開された80年前当時、相澤氏は11歳、三浦氏は4歳だった。
上映後、お二人は懐かしそうに青春時代を語られた。

※相澤氏
「本作を初めて観たのは旧制中学2,3年生の時で、その後2回程観たと思う。中学の時、何故か国語の授業の際この映画の歌を歌った記憶があり、その後自分でちゃんと歌えるようになりたくてアテネフランセの夜学に通いフランス語を勉強したものだ。
トイレも風呂もない1930年当時の巴里裏町の人々の暮らしぶりがよくうかがえて面白い」。

※ 三浦氏
「中学3年生頃観て、当時日本人の巴里への憧れは大変強かったので歌から入った気がする。フランス語を喋る事ができるととてもステキに思えた。
改めて観ると時間経過の描写が絶妙で、この手法を日本の黒澤監督は『椿三十郎』(1962年)の中に取り入れているのでは、と思った」。

 両氏共に、戦時中、日本国内のフランス熱の高さについて、反軍隊・反戦・反ナチスへの思想がフランスへの共感を深め、リベラリズムの証しとしてフランスがあった、と付け加えた。初めて巴里を訪れたのは、相澤氏は1955年、三浦氏は1962年。

 映画を撮ったルネ・クレールは、敗戦から復興した日本が満を持して開催した1970年の大阪万博の際来日し、「芸術と進歩」と題して講演を行ったそうだ。
戦時中に多感な時期を生きたお二人。軍国主義が日本を覆っていただけに異国の映画は新鮮に映り、青春の一本として刻印されているのでは。
(文・桑島まさき/写真・島崎博)

(文:桑島まさき/写真・島崎博)





組織概要   入会案内   個人情報保護指針   よくある質問   お問い合わせ

Copyright (C) 1981 - CurrentYear MCAC All rights reserved.
 
Powered by L-planning