今年の2月16日、淡島千景さんが亡くなられました、享年87。淡島さんは監名会 第86回(2005年5月28日)においでいただき、「夫婦善哉」を上映してお話をうかがいました。
映文振センターが主催する「監名会」(年4回)では5月26日、今回も又豊田四郎監督の作品「夫婦善哉」(1955年)を上映、ゲストは本作で淡島千景さんの義妹役で出演されていた司葉子さん。
上映後の司さんが弓家保則(俳優)氏のインタビューに淡島さんにまつわるエピソードを話されました。司会進行は俳優の滝沢めぐみさん。
「淡島さんは、東京生まれの自分にとって関西弁での会話、スタッフはすべて関西人という環境での出演は大変苦労が多く、初めて出演中に降板したいと思った映画だった。でも、松竹から女優をわざわざ借りる価値があったと思わせる必要があり一生懸命演じた……と。又豊田監督は女優に厳しい方で有名でしたが、あの時の淡島さんの演技には脱帽されたようです。森繁さんはそれを受けてやはり名演技で、これ一本で東宝のスターダムに並び、社長シリーズ・駅前シリーズにつながっていくんです。私はまだ4作目で、二人の演技を見ていてもう女優を諦めようと思ったくらいです。でも今日久しぶりに『夫婦善哉』を見直してけっこうがんばってましたね(笑)。
淡島さんと舞台でご一緒の時は、舞台の袖で演技を見て手本にさせていただいていました。」
改めて、作品の凄さ、淡島・森繁コンビ、脇役布陣の超演技に驚きます。この作品を全力で作り上げ残して下さった監督、スタッフも含め全員に感謝したい気持ちです。 |