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2012年8月11日
第113回 「約束」
おはなし:脚本家 石森 史郎 さん

「第113回監名会」(映文振センター)が8月11日、京橋のフイルムセンターで開催された。上映作品は、2009・11・28に亡くなられた斉藤耕一監督作品である「約束」。
封切り当時数々の賞に輝いた。上映会の後、脚本を書かれた石森史郎氏の楽しい講演をうかがった。司会進行は俳優の滝沢めぐみさん。

看守付きで仮出所した女囚(岸恵子)と、刑事に追われる強盗犯(萩原健一)が列車の中で偶然に隣り合わせになり恋に陥る。――明日がない男と女の悲しい別離を描く「約束」は40年前、石森さん41才の時の作品、ということは今81才!
 石森さんは、大学を卒業して入った日活時代の師匠八木保太郎氏から「ただ書くのではなく時代を反映させろ」と言われていた。その通り、開口一番 "あの映画は、今はもう撮れません! 向き合って座る昔の在来線のような汽車が今はありません。護送犯を普通列車で運ぶなど現在はあり得ません。"
大学時代野田高梧氏(小津安二郎監督と組んで「東京物語」はじめ数々の名作を残した)からシナリオを学んだ石森さんは、その後松竹に呼ばれてうれしかつた。メロドラマが書ける!。「約束」は究極のメロドラマなんです、と石森さん。
いつもセリフが多いと言われているので極力セリフを少なくした。がこれ迄の、同じセリフを2度言わせない、の禁を破り「ありがとう」を3回言わせている。岸恵子さんは、"あのセリフが一番難しかつた"と石森さんに言われたそう。
「約束」は日活でスチールマンだった斉藤監督が、石森さんとほぼ同じ頃に松竹に移ってきた時に、頼まれて3日で書いたという。
ラスト(ファースト)シーンで、2年の刑期を終えた蛍子(岸恵子)は " 約束"した公園のベンチで男を待つ。傍らを子供達が走り去る日常。男が絶対に来ないことを知っている我々観客は、信じて毅然と座る蛍子が哀しい 。

実は石森さんは、仕事をしたことはないが池部良さんの大ファン。池部さんが亡くなられた時、遺品として奥様からもらったというネクタイを勝負服?として監名会にしめてきて下さった石森さんに、主宰者として有り難いと思う。いつかそのうち石森さんの豊富な交友録を心ゆくまでうかがってみたい。若き日に米軍キャンプで、その後のクレイジーキャッツの仲間達と演奏、ピアノを弾いていた頃のこととか。

 (文・竹下資子/写真・島崎博)





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