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2013年12月10日
第118回 「赤ひげ」
おはなし:俳 優 二木 てるみ  さん     インタビュアー:元キネマ旬報編集長 植草 信和  さん

 2013年度の締め括りとなる「監名会第118回」が12月10日(火)に京橋のフィルムセンター小ホールで開催された。上映作品は黒澤明監督の『赤ひげ』(65年)。黒澤監督が「日本映画を救う」という熱意で映画化した作品で、出世を夢見る医員見習いの主人公が意に反して古びた養生所に配属され、最初は反発するものの、次第に所長の赤ひげの人格の深さや医術の高さに感銘を受け、自らも養生所に一生を捧げる決意をするまでを描く。公開当時、大ヒットを記録し海外でも高く評価された。今回の上映会の客席には、元黒澤組のメンバーであられた野上照代さん(監名会106回、109回にゲストとしてご参加)、出目昌伸さん、小泉堯史さん(監名会109回にゲストとしてご参加)、等々のお姿もあり会場が賑わった。
上映後は、主人公の最初の患者であり彼に恋心を抱く少女「おとよ」を演じた、二木てるみさんがこの日のゲストで登壇された。インタビュアーは元キネマ旬報編集長の植草信和さん。司会進行は俳優のにしいひろみさん。
 実は二木さんは『警察日記』に4歳で出演された名子役、1981年その『警察日記』を上映して久松静児監督と共に第1回の監名会にゲストとしておいで頂いた、今回は32年ぶりのご参加です。

二木さんは『赤ひげ』でブルーリボン賞の助演女優賞を当時最年少で受賞。「14,15歳の多感な時期に黒澤さんと巡り合えたことは、まさに神様のお取り計らい」と話す二木さんは、羽飾りのついたベレー帽にモノトーンのシックなコーディネート。天才子役として名を馳せた少女の頃と変わらないチャーミングな微笑みを浮かべる。妥協しない黒澤監督や職人気質のスタッフ達との現場を体験した二木さんは「この当時に完璧な作品群に参加したことで、後の現場では何か違う…と感じてしまうなどの苦しみもあり、黒澤作品に参加出来たことは、幸せでもあり不幸でもあった」とも述懐された。
「本作は印象的なシーンが多く、中でも「おとよ」の目の演技が強烈な印象を与えていますね」と植草さん。当時注目されたその「目の演技」が、監督の指示による寄り目と首を垂らす演技、床のレフ板、脇からのキャッチライトという、役者とスタッフ達の「三位一体の作業」で綿密に作り上げられたことを、二木さんは明かされた。また、他にも撮影中のエピソードとして、娼家の女主人役の杉村春子さんを周りの女性達が大根でたたいて養生所から追い出すシーンでは、大女優を叩くことを黒澤監督や現場の皆が大変面白がっていたことなどを披露してくださった。
現在の二木さんは朗読会への参加や短大で自己表現の講義を受け持つなど、活躍の場を広げられている。今後については、『恩送り』という「受けた恩を世に循環させていく」という意の言葉を選ばれ、黒澤監督をはじめ「先人達に託された大切な財産を次の世代へと伝えて行きたい」と未来の抱負を語られ、黒澤監督の遺伝子が今の世にも引き継がれている姿が印象的だった。

(文 菅原英理子  写真 竹下資子)





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