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2017年3月3日

第131回 「子どもシネマスクール成果作品上映会」

プロといっしょに映画をつくる

 春の陽気となった雛祭りを迎えた3月3日(金)、「監名会 第131回」が開催された。今回の上映作品は『子どもシネマスクール』の成果作品2作。いつものフィルムセンターが改装にともなう休館のため、高田馬場の新宿区立戸塚地域センターの7階ホールで行われた。キャストやフタッフとして制作に携わった方々も多数参加し、和やかな雰囲気の中で上映会はスタートした。司会進行は当法人理事の中沢由紀男さん。
 『子どもシネマスクール』は「未来を生きる子どもたちに本物の映画の素晴らしさを、映画製作の現場を通して知ってもらう」という趣旨のもと、子どもがプロと一緒に映画を製作するプログラム。映画・映像を「観る」「創る」の両面に重きを置く当会の主要な活動のひとつとして、2002年より行われている。

 1本目の上映は『笑顔がいちばん(きらきら談話室第4話)』(2011年)。
2011・3・11の東日本大震災から5年以上も経って、最近避難者いじめが表に出てきています。
私共は、2011.5月にはこの話を知り、第9回「笑顔がいちばん」を企画しています。その後準備、製作、翌2012・3・11には完成試写会を行っています。
福島県から避難してきた主人公の兄妹が「放射能がうつる」といじめに会う 。一方で米国から引っ越してきた子は、日本全体が汚染されていると感じている。誤解を解くため、皆で原発事故について話し、最後は全員が理解し合うという物語。
「それでも生きてて良かった」という主人公兄のセリフに観客は感動の涙を流していました。
上映後のショートトークで、坂下正尚監督が当時を振り返り「今の社会は情けない。優しい気持ちを持って欲しい」と語るとともに、作品に出演した子ども達の素晴らしさを讃えた。
また、本作にご自身の役で出演された、よの森あかねさんも「子どものいじめを止めるのは親のしつけ」と話され、自作の『お友達へ』を手話とともに披露。「いじめゼロの日」を目指そうと呼びかけた。
続いて、女優の萩生千津子さんが登場。文学座に所属する女優としてキャリアを積んだ後、不慮の事故により現在は車椅子の生活をされる中で、逆境を力に変える語り部として活躍する現在のお話を聞かせてくださった。さらに、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を印象的な方言バージョンで朗読され、会場全体が引き込まれた。 

 2本目の上映は『おじいちゃんの季節(きらきら談話室第7話)』(2016年)。社会問題化している「認知症」を取り上げた。
映画では、交通事故で両親を失くした3人姉弟が、一緒に暮らす祖父の認知症に向き合いながら、祖父の戦争体験を知って成長していく姿を描きます。認知症は加齢で起こる一症状と考え、地域で支え合っていく人々の姿を描いた。
上映後は、後藤俊夫監督が「日本人の4分の1が認知症になる今日、脳の活性化が必要」と説かれた。また、後藤監督は昨年度は闘病のため、本作は監督作品の中で唯一、完成試写に参加出来なかった作品だと話され、スタッフやキャストとの再会を喜ばれた。そして、現在は完治されたとのことで、会場からは祝福の拍手が起きた。

続いて、上映作品の製作に参加された方々に、客席からスクリーン前に出て来ていただき、一言ずつお言葉をいただく。撮影監督の伊藤嘉宏さんはじめ、出演メンバーの上月左知子さん、南原健朗さん、弓家保則さん、山科ゆきこさん、千葉誠樹さんの皆さんが登壇。
最後にスタッフの大東弘文さん、そして、当法人の竹下資子代表理事が次の第13回子どもシネマスクールの抱負を語った。

 こうして「プロといっしょに映画をつくる」を通して次世代へ映画の心を伝える試みが体現されていることを実感し、その貴重な場に集える歓びの中で、今回の上映会は閉幕した。

(文:菅原英理子 写真:岡村武則)





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