インターネット エクスプローラーダウンロード
推奨環境:IE5.5以上



 HOME > 監名会 > 監名会リポート


2020年9月16日

第145回 「ビルマの竪琴」

 残暑がようやく和らいだ9月16日(水)、国立映画アーカイブ(京橋)にて「監名会 第145回」が開催された。新型コロナウィルス感染症拡大予防のため、来場者には入館時の検温、マスク着用が要請された。 上映作品は『ビルマの竪琴』(1956年)。評論家・ドイツ文学者である竹山道雄の唯一の児童文学作品を、名匠・市川崑監督 (1915〜2008年 / 1988年の監名会第20回にゲスト参加)が映画化した。青春映画、時代劇、文芸大作、ドキュメンタリーなど多彩なジャンルを手掛けた市川監督は、原作と出会い「絶対に映画化しよう」と使命感を抱いたという。完成作は大ヒットを記録し、ヴェネツィア国際映画祭サン・ジョルジョ賞を受賞、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。今日も反戦映画の傑作として誉れ高い本作は、ビルマの土の赤にこだわった市川監督本人により、1985年にカラー版でリメイクされ再び大ヒットしている。
 物語の始まりは第二次大戦中の1945年の夏。ビルマを転戦する日本軍の小隊は、音楽好きの小隊長(三國連太郎)のもと、竪琴の名手である水島上等兵(安井昌二)の伴奏で合唱し、心を癒していた。終戦後に捕虜となった一行はムドンの捕虜収容所へ送られる。水島は抵抗する残留兵の投降説得という命を受けて隊を離れるも、説得に失敗して負傷。ビルマ僧に救われ、仲間の待つ収容所を目指すが、その道中に夥しい日本兵の白骨の山を目撃する。この衝撃が水島にビルマに残り戦友の遺体を弔う僧となることを決意させた。
 戦後75年目の節目にあたる本年は、コロナウィルスの感染が世界中で急増。世相には強い不安感が漂い、戦時下にさえ例えられた。世界各地で人々が「命」と向き合い、それぞれの「生き方」について煩悶する中、本作を鑑賞する機会を得たことは感慨無量であった。今回もトークショーは見送られたが、映画への思いを新たにし、未来に希望を託しながら上映会は閉幕した。

(文:菅原英理子)





組織概要   入会案内   個人情報保護指針   よくある質問   お問い合わせ

Copyright (C) 1981 - CurrentYear MCAC All rights reserved.
 
Powered by L-planning