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第005回 「下高井戸シネマ」支配人 荒河さん・長崎さん
「路面電車の走る街」
 京王線で新宿までわずか十数分の場所に位置しながらも、都心の喧騒を忘れさせてくれるような和やかな街、下高井戸。駅の裏手からは今や希少価値となった路面電車、東急世田谷線がのんびりと走っています。そんな街で、多彩な番組編成で地域の人々や映画ファンから親しまれている映画館があります。それは下高井戸シネマ。
「時代は流れても変わらぬもの、それは」
 下高井戸シネマが現在の建物(ビルの2階)でオープンしたのは昭和62年のこと。当初は京王電鉄グループの直営劇場でした。「映画館としての歴史はもっと古く、昭和30年代にまでさかのぼる」 そう語ってくれたのは共同支配人の一人、荒河治さん。時代は日本映画の全盛時、その頃は東映の封切館であったそうです。そんな歴史ある映画館にも「閉館の危機!」という噂が流れました。それは平成9年のこと。京王電鉄グループから劇場経営を引き継いでいた日本へラルド映画グループが、下高井戸シネマの経営から撤退することになったのです。しかし、閉館の危機は杞憂に終わりました。劇場スタッフがヘラルドを退職し、独立して劇場経営にあたることになったのです。そのスタッフが、現在、共同支配人をつとめている荒河さんと長崎敏朗さんでした。「長年働いているところから離れたくなかっただけ」と長崎さんは、笑いながらそう語ってくれましたが、大手資本から離れての独立には多くの困難が立ちはだかったはず。その一番の問題は、資金集めにともなう保証人探しでした。それに助け船を出してくれたのが商店街の人々。事情を聞いたある店主さんが、快く保証人を引き受けてくれたそうです。商店街に根をおろしていた映画館は、商店街の人々の暖かい支援によって新しい一歩を踏み出したのです。
「この映画館だから観に来たよ!」
 商店街や地域の人々、そして鉄道会社(公共施設と同様に駅に案内板が掲げられています。これは京王広告のご好意とのこと)から、暖かい支援をうけながら運営を続けている下高井戸シネマ。その交流の輪をさらに深めていこうと、昨年は商店街主催の音楽祭に合わせて「音楽映画特集」も企画されました。今後もこのような地域に根付いた活動を積極的に考えていくそうです。また、それとともに、下高井戸シネマがこだわっていることがもう一つあります。それは、快適な映画鑑賞環境の提供。暗くなりがちな劇場ロビーの雰囲気を少しでも明るくしようと、劇場入口は全面ガラス張りになっており、ロビーのテーブルには可愛らしい花の小鉢が飾られていました。また、映写技術にも随分とこだわっているとのことです。「うちは、ロードショー館ではないけど、わざわざこの劇場で公開されるまで待っているお客さんもいらっしゃってね」 お二人は、目をほそめながらそう語ってくれました。事実、会員数はのべ8000人を超え、毎日のように番組リクエストの電話がかかってくるそうです。

人々と文化が合流しながらゆっくりと流れる街、世田谷区下高井戸。この街にこれからも、銀幕に映像が流れ続けていきます。
(取材・木村昌資)
【下高井戸シネマホームページ http://www.ne.jp/asahi/kmr/ski/shimotakaido_cinema.html





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