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第020回 「神保町シアター」支配人 大矢敏さん
古本屋街の新しい名画座
「本の街」
わが国最大の書店街、神田神保町。大型書店の本店や専門書店、古本屋、そして出版社が並ぶこの界隈は、先の太平洋戦争において、米軍からの空襲を免れたと言われています(出版文化保存のためとも)。その古き文化の佇まいを残すこの街に、昨年7月新しい映画館がオープンしました。今回ご紹介するのはその劇場、神保町シアター支配人の大矢敏さん(47)です。
「夜遅くまでテレビ映画を観ていて・・」
大矢さんの出身は新潟県。「林家こん平や三波春夫の出身地近くの田舎ですが」そう謙遜する大矢さん。家の近くには映画館は無く、大矢さんの映画初体験はテレビで放映された名画劇場でした。「小学生の頃はテレビ映画を夜遅くまで観ていて、朝寝坊するのもしばしば。親に怒られたものでした」。その名画劇場で印象に残っていたのは「ワイルドバンチ」と「ノートルダムのせむし男」。また中学一年生の時、街の映画館で観た封切り映画「燃えよドラゴン」も忘れられない一作だそうです。
その後、長岡市の高校に進学した大矢さんは、ある名画座と出会います。県都、新潟市にある名画座『ライフ』。「ウェストサイドストーリー」やATG作品など、古今東西の名作に出会えたとのこと。残念ながらこの名画座は閉館しましたが、その志は市民出資の映画館「シネウィンド」で今も受け継がれています。
「新聞学科から映画会社に」
高校卒業後、上智大学新聞学科に進学した大矢さんが志した業界はマスコミ。受験したのは新聞社、出版社、そして映画会社。「大映だけ受かって。確か徳間書店が再建に乗り出してから四期目の新卒でした」配属された部署はビデオ営業。ちょうどビデオが普及しはじめた頃で、セールスで全国各地のビデオレンタル店をまわられたそうです。やがて配給部門に移り、溝口健二や三隅研次特集など大映旧作の特集上映を手掛けることに。また、周防正行監督の出世作「シコふんじゃった。」では宣伝プロデューサーを担当。その後、配給会社のコムストックを経て、文京区千石の三百人劇場の番組編成を担当するオフィスサンマルサンに入ります。「劇場自体は演劇の小屋なので、春と夏と正月が映画にあてられていました。オフのときは何をしていたかというと、イラン映画などの洋画の配給をしていました。『カンダハール』とか『亀も空を飛ぶ』なんかは結構話題になりましたよ」
「名画は色褪せない」
その三百人劇場が2006年いっぱいで閉館し大矢さんは、神保町シアター支配人に就任します。この劇場の親会社は、大手出版社の小学館。「ALWAYS 続・三丁目の夕日」など、年間20本近い出資作品があり、劇場のオープニングは「ポケットモンスター」だった。現在は基本的に小学館作品の新作ロードショーと過去の邦画の名作を交互に上映している。「過去の邦画、特に撮影所全盛時代のプログラムピクチャーの掘り起こしをライフワークにしていきたいですね」
取材当日の劇場プログラムは、「市川崑監督特集」。監督が亡くなられた直後ということもあり、劇場は平日の昼間にもかかわらずほぼ満席。本と同様に、映画の名作も、時が経っても色褪せない、その思いを強くしました。
(取材:木村昌資)
【神保町シアター:http://jinbocho-theater.jp/
TEL:03-5281-5132





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