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第009回 「京都シネマ」社長 神谷雅子さん
「映画の街のミニシアター」
千年の都、京都。古きものと新しきものが共存する古都に昨年、京都市民待望のミニシアターがオープンしました。その名は京都シネマ。戦前からの佇まいを残すビル、COCON烏丸の三階に位置しています。今回ご紹介するのは、京都シネマを経営する如月社の代表取締役社長、神谷雅子さん。

スタートは京都朝日シネマ
 神谷さんが映画興行の世界へ踏み出したのは1987年、開館を間近にひかえた京都朝日シネマのオープニングスタッフの一員としてでした。「完全入替制を、お客様に理解していただくのに時間がかかりました」、開館当初の思い出をそう語る神谷さん。’80年代半ばから東京を中心にミニシアターと呼ばれる、主にアート系の作品を公開する劇場が生まれましたが、京都朝日シネマは京都地区でははじめてのミニシアターで、入替制は関西で最初の導入でした。このミニシアターのシステムに、お客様が戸惑うことも。しかし、「お客様に、世界の秀作をじっくりと集中して観ていただく空間を提供したい」、神谷さんをはじめスタッフ一同の映画への熱い思いが多くの人々に伝わり、京都朝日シネマはミニシアターとして京都市民の間に定着していきます。
映画には人々を動かす大きな力がある
 その京都朝日シネマで南アフリカのアパルトヘイト政策を題材とした映画「サラフィナの声」を上映した時、神谷さんはその思いを強くしたそうです。映画だけでなく、美術展やお芝居など様々な力が大きく働き、アパルトヘイト政策は映画公開数年後に撤廃されました。「映画を通して社会を観ることができました」。ハリウッド映画メインのメジャー系洋画ロードショー館と違い、ミニシアターで公開される作品は、アジア、ヨーロッパ、南米・・とあらゆる国のあらゆる人々によってつくられたもの、そこから地球に生きる人々の鼓動を感じ取ることができるとのこと。京都朝日シネマは、まさに、大きな世界への入り口であったのかもしれません。
しかし、諸事情で、一昨年冬、京都朝日シネマはその幕を閉じます。閉館を惜しむ声が、京都市民をはじめとして全国の映画ファンの間から寄せられたそうです。
誰にでも楽しんでもらえる真のバリアフリーを目指して
 多くの映画ファン、そして市民の熱い声援を受けて新しくスタートとした京都シネマ。作品編成は、京都朝日シネマの精神を受け継ぎながら新しい試みも。「多くの人々に映画のすばらしさに触れてもらいたい」、その思いで映画館のバリアフリー化にも取り組んでいます。具体的には設備面はもちろんのこと、視覚・聴覚障害者の「日本映画を楽しみたい」と言う思いを受け、ボランティアサークルが準備、映画製作者の協力も得て字幕副音声付き上映を実施。また、京都という地の利を活かして、映画の作り手と観客との交流の場をつくることにも力を入れている、とのことです。「映画を通して人生が豊かになる」、そう語る神谷さんの姿に、映画というのは共存世界への入口なのではないか、との思いが脳裏を過りました。
(文・写真: 木村昌資)
【京都シネマ:http://www.kisaragisha.co.jp/kyotocinema/





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