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第014回 「K's cinema」支配人 山本龍二さん
新宿の新しい顔、東南口
 新宿の表玄関といえば西口。私鉄系の百貨店が軒を並べ、都庁への玄関ともなっています。また、文化娯楽の玄関としては、歌舞伎町最寄の東口も忘れることはできません。そんな中、新宿駅の南側は、従来どちらかというと影の薄い存在でした。その地域を一変させたのが、新南口と東南口の開設。それとほぼ同時に、若者向け店舗の出店が続き、人の流れが変わってきました。この新しい街の一角で、良質な新作映画を上映しつづけているK's cinema。今回はこの劇場の支配人、山本龍二さんにお話をうかがいました。
学生にとって身近な娯楽、名画座
 昭和28年生まれの山本さんが、大学進学のために上京したのは昭和46年のこと。吹き荒れた学生運動も下火になり、学園にはギターの音にのったフォクーソングが流れていました。四国愛媛から単身上京して、心のよりどころとなったのは映画。「ただの一映画ファンにすぎなかったけど。当時、映画は安くてね」。その頃、ロードショー館ではなく二番館の名画座だと、50〜120円で複数の映画を観ることができたそうです。大学最寄の早稲田松竹をはじめ、文芸座、並木座、そして新宿の昭和館と、足繁く劇場へ通いつづけました。「ヘップバーンの作品に、ATG作品、それに東映の任侠映画と古今東西、さまざまな映画と出会うことができました」 当時をそう振り返る山本さん。やがて、趣味がこうじて、老舗名画座のひとつ昭和館で学生アルバイトとして働きはじめます。これが映画人生の第一歩でした。
昭和館、そしてk’s cinema
 山本さんは大学卒業後も、社員として昭和館で働きつづけます。昭和館と言えば、東映の任侠映画シリーズなど、日本映画のイメージが強く、劇場前の手書き看板を記憶している方も少なくないと思います。「作品の傾向や場所柄、色々なお客様が多くお越しになりました。その当時、興行場では顔パスが横行している地域もあったそうですが、昭和館に関しては、誰に対しても毅然と対応し、入場料を頂きました」。
 名画座の醍醐味は、何と言っても番組編成。ロードショー館とは違って自由に編成することができます。といっても、その編成によって劇場の観客動員は大きく左右します。昭和館時代の晩年は、山本さん自身も番組編成に携わることになりました。「『砂の器』の上映を企画し、多くのお客様に来ていただいたことが印象に残っています」、そして時代の趨勢はビデオやDVDに。平成14年4月30日、昭和館はその幕を閉じます。しかし昭和館の跡地に新しい劇場がオープンします。平成16年3月6日、新しく建てられたビルの3階にK's cinemaが開館。山本さんは、その劇場の支配人に就任しました。
お客様に“心地良い時間と空間”を
 昭和館時代とちがって、単館系の新作映画を上映するようになったK's cinema。客層も作品に応じて若いお客様からご婦人、シニア層と幅広くなったとのこと。「来ていただいたお客様に、ゆったりとくつろいでいただければ」、そのコンセプトのもと、内装には随分と気をつかったそうです。実際ロビーは白を基調に自然光を取り入れるなど、明るく清潔感に満ちあふれています。客席数も、100名収容できるスペースに84席を配置しました。劇場には、アンケート用紙が置いてありますが、「お客様からの喜びの声を読ませてもらうたびに、私たちも嬉しい気持ちで一杯になります」。この山本さんの言葉から、映画を観せる仕事の大切さを改めて実感させていただきました。
(取材:木村昌資)
【K's cinema:http://www.ks-cinema.com/





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