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第001回 「パリの屋根の下」ルネ・クレール
中学三年、昭和十五年の秋。私はこの年に急速に大人になったと思う。
文学を本気で読み始めたし、哲学書を読まねば、戦時下の世界は判らないと思いだしていた。
その時にこの叙情的なフランス映画にであい、映画の優れた芸術性を知った。
冒頭のパリの曇り空、屋根、屋根の上に林立する煙突。音楽が聞こえる。
勿論、映画の主題歌である。
カメラが地上に動くと、二人の若い辻音楽師。アコーディオンを弾き、歌を歌い、楽譜を売る。
この二人の生活に美しい娘がまぎれこむ。束の間のはなやぎ。
しかし彼女はその美しさに相応しい世界に去ってゆき、二人は元の生活にもどり、カメラは辻音楽師からはなれて上にパンしてゆき、冒頭と同じ煙突、屋根、曇り空で終わる。
この作品をきっかけに、私は真剣に映画を見るようになった。クレール、デュビビエ、フォルスト、キャプラ、フォード。その意味で忘れ難い作品である。
(映文振センター理事長 三浦朱門)





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