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第003回 (十歳の記憶)
幼時の頃より毎週必ず見ていた日本の活動写真なるものは、判りやすくて、ハラハラ、ドキドキの活劇か、もの哀しい悲恋物語であった。
十歳の時であった。奇妙な映画を見た。
弁士の説明もなんだかよく判らず、会話も余りなく、若き武士の天を呪うが如き表情、そしてその姉の痛ましい悲嘆の姿。一体これはどういうお話なのか?……と判らないままに終わってしまった、
だがその時──これはきっと本当の芸術かも知れない──と思った。
わが家の父の蔵書の中には沢山の外国の美術書があった、
二十世紀初頭のものばかりであった(後年知った)。
それ故、不可思議なそれぞれの姿、かたちが何となく判ったのである。
その映画の題名は「十字路」監督・衣笠貞之助・なのである。
後年になってから、ドイツ表現派の映画・「カリガリ博士」の影響を受けた作品という事を知った。少年の私に新らしき芽生を植えつけてくれた作品なのである。 (映文振センター顧問)
(美術監督 木村威夫)





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