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第006回 「オーケストラの少女」ヘンリー・コスター
 映画は、名作、傑作、駄作、愚作などと色々な評価でランクづけされているが、「私にとっての一本」といえば、そんな評価をとび越えてこれぞ映画といえる映画、「オーケストラの少女」をあげたい。
 この映画は昭和13年の正月映画として特別料金で公開された音楽映画で、6ヶ月のロングランという空前のヒット作となった。
 ストーリーは、失業しているのをかくして毎日、オーケストラの練習だと言って出かけるトロンボーン奏者の父。そんな父の姿を見たいとある日、娘は練習場へ行ってみる。しかし父の姿はそこにはなかった。失意の娘は、帰り道で資産家らしい夫人が落としたハンドバックを拾う。翌日、中に入っていた名刺をたよりに娘は夫人のもとへハンドバックを届ける。そんなことが縁で資産家は、楽団を編成すれば資金援助することを娘に約束する。娘はその言葉を信じて失業中の楽士を集めオーケストラの編成に奔走する。純真な行動とは裏腹に、彼女は多くのトラブルに見舞われて挫折する。しかし、娘の熱意は名指揮者の心をとらえ、失業楽団は誕生する。
当時、フィラデルフィア楽団の名指揮者、ストコフスキー氏本人の出演、数々の名演奏、明るい娘、ディアナ・ダービンの唄声、全篇をつらぬく心地よい感動に多くの観客は魅了された。
 純真な心と行動、人々の善意、ブルジョア社会の無責任、庶民の力、当時のアメリカ映画が持っていた魅力のすべてを見せてくれた、観客に勇気と希望を与えてくれた本作。私にとって忘れられない1本である。
 翌昭和14年、私は松竹大船撮影所の撮影助手としてスタートした。(日本映画撮影監督協会名誉会長)
(映文振センター副理事長 高村倉太郎)





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