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第011回 「芸者小夏」杉江敏男
 2002年12月1日映画の日、社団法人日本映画俳優協会主催の『映画とトークショウ』が開かれた。当日は『不滅の熱球』を上映して池部良さんと司葉子さんの対談という豪華プログラム。開始前、楽屋にいた私は池部さんに「(監名会で)『芸者小夏』を上映して、ゲストで池部さんにおいでいただくのが私の夢なんです。でもフィルムが東宝にもどこにもなくて」と申しました所、池部さん曰く「ぼくは、あの映画は好きじゃないんだ」とのこと。  実は、私が『芸者小夏』に固執するのは、映画の中の1カット・・・小学校の教師役の池部さんが、教え子の小夏に恋をし、ある日卒業した彼女の家を訪ねる。奥から出てきた小夏(岡田茉莉子)の見た目で、雪見障子のガラスの向うに映ったうらぶれた先生(池部さん)の少々くたびれた紺(モノクロなのに何故かそう思った)のレインコート姿が目に焼き付いて離れなくなり、その後間もなく紺のバーバリー製(そう信じて)のレインコートを親にねだって買ってもらい、かなり長い間、あの時の池部さんを思い出しては着ていた。
勿論、それ以来池部さんの大ファンになった・・・にあったのです。40年以上前、私の中学時代の頃の話です。  「ぼくは、あの映画は好きじゃないんだ」と池部さんに切り返された私は、長い間の思いが一度にくずれて呆然自失の態。気の毒に思われた司葉子さんが「竹下さん、そういう時は、じゃあ池部さん何が一番お好きですか、ってうかがったら」と助け舟を出して下さった。我にかえった私は、オオムのように「じゃあ池部さん何が一番お好きですか」と言いました。池部さんは『現代人』と一言はっきりと言われました。  それから1年半後、監名会第82回(2004年5月15日)は、ゲストに池部良さんを迎えて『現代人』を鑑賞、この映画が一番お好きな理由をうかがったのでした。(当会報P-3参照)  私の「思い出の映画この一本」は、今もこれからも『芸者小夏』のあのカットです。しかし池部良さんの思い出の映画この一本『現代人』を、2002年12月1日映画の日のあの楽屋で偶然にうかがい、この欄でなく監名会で実現できて池部さんに喜んでいただけたことは、本当に良かったと思っています。
(映文振センター副理事長 竹下資子)





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